マイホームを長持ちさせるには定期的なメンテナンスが必要ですが、
中でも特に重要なのが「外壁塗装」です。
では住宅のベストな塗り替え時期はいつなのか、外壁塗装の塗り替えを行うのに
適した季節はあるのかなどについて詳しく見ていきましょう。
住宅の外壁塗装は10年が目安
日本における住宅の外壁塗装の塗り替えは「10年」が目安とされています。
あくまで10年は目安で、
必ず10年ごとに外壁塗装を塗り替えないといけないわけではありません。
10年ごとに塗り替えが必要かどうか、
ハウスメーカーなどの診断を受けた方が良いということです。
外壁塗装の塗り替え目安が10年とされているのは、
住宅の外壁塗装に使われる塗料の耐用年数がだいたい10年だからです。
住宅の外壁塗装に使われる塗料は、主に
・アクリル樹脂
・ウレタン系
・シリコン系
・ラジカル系
・フッ素系
の5種類となっています。
アクリル樹脂は安価なものの耐用年数が短く、
早いと3年、長くても5年で塗り替え時期が来ます。
ウレタン系も比較的安価ですがアクリル樹脂よりは長持ちで、
耐用年数はだいたい10年ぐらいです。
シリコン系・ラジカル系は耐用年数が長いものの価格はそこまで高くなく、
だいたい10年から15年ぐらいはもちます。
フッ素系は一番長持ちで15~20年の耐用年数がありますが、
住宅1棟塗り替えるとなると結構高額になります。
一般的な住宅では価格と耐用年数のバランスから、
ウレタン系やシリコン系が使われることが多いです。
ウレタン系・シリコン系の耐用年数はだいたい10年なので、
10年ごとに塗り替えが必要か診断を受けた方が良いと言われるわけです。
外壁塗装の塗り替えで住宅の寿命が2倍以上に!?
定期的に外壁塗装を塗り替えることで、
住宅自体の寿命が2倍以上に伸びることもあります。
住宅自体の耐用年数に明確な基準はありませんが、
「減価償却資産の耐用年数に関する省令」を元に考えられます。
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040015)
省令によると、鉄筋コンクリート造の住宅は47年、
木造の住宅は22年が減価償却資産としての耐用年数です。
もちろん木造住宅は22年で住めなくなるわけではありませんが、
減価償却資産としての価値がゼロになるということです。
また国土交通省によると取り壊された住宅の平均築後年数は約30年で、
だいたい新築して20~30年が一般的な木造住宅の「寿命」と言えます。
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/tebiki.pdf)
日本の気候は世界でも稀な高温多湿で、
気温が高い上に湿気も多いのは建物にとっては過酷な環境となっています。
そのため住宅が非常に傷みやすく、
欧米に比べると耐用年数も耐久年数も短くなってしまっているのです。
(欧米の住宅の平均耐用年数は100年を超えることも)
しかし定期的なメンテナンスを行って過酷な環境に耐えられる状況を
作ってあげることで、住宅の寿命を60年以上に伸ばすこともできます。
外壁塗装の塗り替え時期はマイホームが教えてくれる
一般的に外壁塗装の塗り替え時期は10年とされていますが、
塗料やメンテナンスの仕方などで長くなることもあれば短くなることもあります。
10年など年数を気にしていなくても、
「そろそろ塗り替え時期だよ」とマイホームが教えてくれるのです。
住宅の外壁塗装が劣化すると様々な症状が表れるのですが、
それがマイホームが教えてくれる塗り替え時期のサインとなります。
チョーキング
外壁塗装の劣化を知らせるサインで、
最も代表的でわかりやすいのが「チョーキング」です。
塗膜が劣化して、塗料に色を付けている顔料が粉状になって外壁塗装の表面に
現れる現象のことです。
外壁を触って手に白い粉が付いたらチョーキングが発生しています。
劣化具合としては中程度ですが、塗膜が劣化しているので防水性が低下しており、
放置していると外壁に雨水が染み込んでひび割れやカビの原因となります。
粉が少し手に付く程度なら1~2年を目途、
大量の粉が付くようならすぐにでも塗り替えを検討しましょう。
塗膜の膨らみ、はがれ
外壁の塗膜が不自然に膨らんでいたり、はがれていたりするのも
塗り替え時期を知らせるサインです。
塗膜が劣化したことで耐水性が低下、外壁材と塗膜の間に染み込んだ雨水が
乾燥する際に塗膜を押し上げることで不自然な膨らみが発生します。
そのまま放置していると、膨らんだ部分の塗装がはがれてしまうのです。
膨らみやはがれが発生しているということは、すでに塗膜の下に
雨水が入り込んでしまっており、かなり劣化が進んでいると考えられます。
外壁塗装に膨らみを発見したら、
はがれまで進行する前に塗り替えを検討しなければいけません。
クラック
外壁塗装の「クラック」、いわゆる「ひび割れ」も塗り替え時期を知らせるサインです。
気温や湿度の変化によって外壁材は伸縮・膨張を繰り返しており、
塗膜が劣化すると表面にクラックが発生することがあります。
幅0.3mm以下のいわゆるヘアクラックは表面だけのひび割れですが、
クラック部分から雨水が侵入します。
侵入した雨水が乾く際に塗膜を押し上げて、
膨らみやはがれの原因となったり、クラックが大きくなる恐れがあるのです。
ヘアクラックは住宅の構造上は緊急性が低いものの、
外壁塗装の塗り替えでは緊急性は高くなります。
ちなみに幅が0.3mm以上かつ深さが5mm以上のひびは「構造クラック」となり、
外壁の表面ではなく内部からひび割れが発生している恐れがあります。
最悪の場合は倒壊に繋がる危険性もありますから、
塗り替えに加えて補修や補強も必要です。
シーリング材の割れ、はがれ
外壁材の継ぎ目、いわゆる目地の部分に使われているシーリング材に
割れやはがれが発生しているのも塗り替えのサインとなります。
塗膜が劣化していなくてもシーリング材に割れやはがれが生じていると、
シーリング材の方から雨水が侵入してしまいます。
雨水が侵入すると塗膜の膨らみやはがれ、クラックの原因となりますから、
シーリング材が劣化している場合も塗り替えの検討が必要です。
外壁塗装の塗り替えを行うのに適した季節はいつ?
外壁塗装に使う塗料を作っているメーカーによると
・気温5℃以上
・湿度85%未満
・雨、雪、強風でない
という条件を満たしていると外壁塗装に適しているとされています。
ただ上記は外壁塗装に適した条件なだけで、
上記条件を満たしていないと外壁塗装ができないわけではありません。
最近は外壁塗装に使われる塗料の品質が向上しており、
多少条件が悪くても塗装ができるようになっています。
それでも季節によってメリット・デメリットがあり、「外壁塗装の塗り替えには
この季節がベター」というものが無いわけではありません。
3~5月はベターだがデメリットもある
外壁塗装の塗り替えを行うのに一番ベターな季節とされるのが、3~5月の春です。
3月にもなれば寒くても気温が5℃以下まで下がる日は少なく、
雨が降らなければ湿度が85%を超えることもほとんどありません。
外壁塗装の施工中は窓を開けられませんが、
窓を締め切っていても室内で快適に過ごせる時期でもあります。
また天候も安定している日が多いですから、
外壁塗装の塗り替え時期としては3~5月がベターなのです。
ただ3~5月は塗装業者にとっては繁忙期となりますから、
業者によっては数か月前からの予約が必要となります。
繁忙期のため料金が設定されていることもあり、
他の時期に比べると塗り替えにかかる費用が嵩む恐れもあります。
季節の変わり目で、春雨前線の影響によって天候が不安定になることがあるのも
3~5月に塗り替えを行うデメリットです。
6月は不向きだがメリットもある
梅雨時期である6月は基本的に塗り替えに不向きですが、
6月に塗り替えを行うメリットもあります。
雨の日や湿度が高い日が多いので、塗り替え作業がスムーズに進まず
工期が伸びるのが6月の最大のデメリットです。
工期が伸びても料金が高くなることはありませんが、
いつまでも作業が終わらないのは住人にとってストレスとなります。
ただ不向きな時期だけに塗装業者にとっては閑散期となっており、
評判の良い業者でも比較的簡単に予約が取れます。
また梅雨時期には割引キャンペーンを行う業者も多いので、
他の時期よりも安く塗る替えができる可能性も高いです。
7~8月はデメリットもあるが意外な穴場
7~8月のいわゆる夏は、住人にとって小さくないデメリットはあるものの
塗り替え時期としては意外な穴場となっています。
梅雨が明けると晴れる日が多くなり、
作業がスムーズに進められるのが夏に塗り替えを行う最大のメリットです。
作業がスムーズに進められる時期ではあるものの、
塗装業者の繁忙期ではないので予約が取りやすくなっています。
(お盆を除く)
ただ施工中は窓を開けらないことが、住人にとっての最大のデメリットとなります。
エアコンが使えるようにはしてもらえますが、窓が開けられないので
施工中は家に誰かが居る時はエアコンを稼働させておく必要があるのです。
窓を開けられないことで換気ができず、
室内の気温・湿度が高くなり、通常より電気代が高くなってしまう恐れがあります。
9~11月は春と並ぶ塗り替えに適した季節
9~11月のいわゆる秋は、
3~5月の春に並ぶ外壁塗装の塗り替えに適した季節となっています。
ただ秋雨前線の影響に加えて、
台風の心配もあり、春よりも工期が伸びる恐れもあるのです。
また春と同様に塗装業者にとっては繁忙期のため、
業者によっては数か月前からの予約が必要なのも秋のデメリットです。
(料金が高くなる恐れもあり)
12~2月は地域によっては塗り替えができないことも
12~2月のいわゆる冬は、
1年の中でもっとも外壁塗装の塗り替えに適していない季節と言えます。
湿度は低いものの、
比較的温暖な地域でも気温が5℃以下まで下がることがあります。
閑散期のため予約が取りやすく、割引が受けられる可能性も高いですが、
工期が長くなることも十分に考えられるのです。
北海道や東北地方、日本海側など降雪量の多い地域は、
12月から2月にかけて外壁塗装の塗り替えを断られるケースも少なくありません。
まとめ
外壁塗装の塗り替えは10年ごとに検討するのが一般的です。
住宅の立地条件や使用している塗料、塗り替え以外のメンテナンスなどによって
外壁塗装の塗り替えが必要な時期は変わります。
チョーキングなど塗り替えサインが出ていなくても、
10年ごとを目安にハウスメーカーなどの診断を受けるのがおすすめです。